地域包括ケア研究所が「健康づくり推進事業」として支援している、福島県西会津町を3月13日、14日に定例訪問しました。西会津町は奥知久と大曽根衛が主に担当しています。西会津町では、行政、医療・介護職の垣根なく、町民全員が一体となり、地域の健康づくりに取り組んでいます。今回の定例訪問には、家庭医療に関心がある医学生3名も同席しました。

(福島県西会津町)
https://www.town.nishiaizu.fukushima.jp/

(参照:福島県西会津町ホームページ)

13日の午後に到着し、健康増進課職員、福祉介護職員、地域包括ケアセンターの従業員の方を対象とした、研修会が始まります。その名も「7つ道具プロジェクト」。「7つ道具プロジェクト」は、保健師や栄養士などの専門職が、地域の健康増進活動を推進するために身に着けるとよいと思われる考え方・スキル(ノンテクニカルスキル)学ぶ、勉強会です。合わせて、課を横断した健康づくりチームを育成することも狙いの一つです。

7つの道具プロジェクトでは1年間を通して、リフレクション、行動変容、広報戦略、交渉術、地域診断、問いかけ、ファシリテーションの7つのビジネススキルを対面での研修会とオンラインでの学習会を通じて学んできました。今回は、これまで学習した内容の振り返りと来年に向けての活動方針の共有を行います。

まずはアイスブレイクとして、これまでの活動を振り返りつつ、「自分たちが今どんなチームなっているのか」をそれぞれ考え、絵を書くワークを行いました。目的は1年前と現状のチームとの変化を確認することです。言葉だけではなく、絵で表現することで、言葉にはできない感情や背景にある思いを引き出し、現状のチームの再確認を図ります。皆さん素敵な笑顔で楽しそうにお互いの絵の説明をしておりました。

アイスブレイクが終わった後は、付箋を活用したワークへと移ります。今まで学習した“7つ道具”が現場でどの様に生かされてきたかを、ワーク通して振り返ります。「できたこと」、「できなかったこと」をそれぞれの視点で話し合い、来年につなげていきたいことを考えます。

知識は習得するだけでは意味がありません。実践し、定期的に振り返ることで、自分の力になっていきます。一方的なレクチャーではなく、双方向形式のやり取りの中で、参加者の共通認識を深めていきます。皆さん真剣な表情で、ワークに参加されていました。

7つ道具プロジェクトの後は、西会津町の奥川を訪問しました。奥川は西会津町の中でも高齢化が進んでいる地域です。そこで、奥川の地域集落支援員を務める岩橋義平さんから奥川の現状とこれまでの取り組み内容を伺いました。岩橋義平さんは奥川七観ウォークや奥川マラソンを始めとするさまざまな行事を企画し、奥川地域の復興に努めておられます。また、地域包括ケアセンターや地元の僧侶を巻き込み、死生観に関するイベントを実施するなど、健康づくりに関するイベントも多数実施されています。

他方で、岩橋さんは復興支援と同様に地域の看取りについても進めておられます。個人の看取りと同様に、地域の看取りにおいても納得とプロセスが大事であるという話を聞き、参加した医学生は興味津々に聞き入っていました。その後、医学生は岩橋義平さんの自宅に宿泊し、地元の名産をご馳走いただき、夜な夜な奥川の歴史についてお話を聞いたそうです。

2日目は、地元ケーブルテレビを活用し健康番組を配信しました。本来であれば、同日に弊研究所の所長であり、諏訪中央病院名誉院長の鎌田實が町民の方向けに健康イベントを実施する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により、対面での開催は中止になりました。

しかし、西会津役場の皆様と西会津ケーブルテレビのご協力により、健康番組の遠隔での配信はできることになりました。西会津町では、ケーブルテレビが浸透しており、大半の家にはケーブルテレビが繋がっているようです。

(西会津ケーブルテレビ)
http://www.nct.ne.jp/nct/

番組は福島医科大学会津医療センター教授山中克郎先生による新型コロナウイルスの対策方法のレクチャー、鎌田の健康講座、地域の方や専門職を交えた座談会、鎌田と薄友喜西会津町長との対談と濃密なスケジュールで進みます。番組の司会は奥知久が務めました。

放送は終始和やかな雰囲気で進み、大きなトラブルもなく、約2時間の収録があっという間に終わりました。

生放送配信後は本日最後の企画、西会津町民の方々との「西会津健康オモシロ座談会」です。オモシロ座談会は、町民と協働で対話を重ねて、一緒に西会津町の健康増進計画を作っていく企画です。ただ会議をするだけでは、面白くありません。

オモシロ座談会は全てワークショップ形式で行い、皆で楽しく雑談をしているうちに議論が前に進む、その様な設計に力を入れています。全体の設計とファシリテーションは地域包括ケア研究所が務めます。

今回は、1年間実施してきたことの振り返りと次年度に向けての現在地確認、加えて鎌田の講話という、特別編でした。オモシロ座談会は鎌田の講話から始まりました。鎌田の諏訪中央病院のこれまでの取り組み、中でも患者さんとの体験談を中心に話します。患者さんとの思い出のエピソードを振り返り、中には涙を流す町民の方もいらっしゃいました。そして、最後に住民参加型の地域づくりの必要性を訴え、鎌田の講話が終了しました。

鎌田の講演会の後は、いよいよグループワークの時間です。まずは、町民の方々を少人数のグループに分けます。できるだけ、多くの方に発言をしてほしいという思いから、大きなグループではなく、グループワークの設計を少人数制にしました。グループワークの内容は、これまでの1年間の活動の振り返り。自分達が掲げる目標を達成するために、自分達の現在地を、各々振り返りします。

なぜ、自分達はこの取り組みを行っているのか」、「なぜ、このような活動が必要なのか」活動の源泉を振り返ります。少人数のグループで自分の意見を発表し合い、A3用紙に記入していきます。少人数のグループでの共有が終わった後は、別のグループと合流し、先ほどより大きなグループを作り、グループごとに出た話題を共有し合います。

最後は全員で大きな円を作ります。改めて、自分たちの現在地とお互いの気持ちを確認し合います。大事なことは、参加者全員がこの活動に、意味付けができているかです。受動的な参加ではなく、積極的に参加していただくために、対話を繰り返す丁寧な設計にしています。終始笑顔が絶えない座談会で、これからの期待とワクワクを感じさせる時間となりました。

地域包括ケア研究所は、引き続き西会津町の健康づくり推進事業を支援してまいります。
参加いただいた皆様、2日間本当にお疲れ様でした。


<担当者>

大曽根 衛

1999年横浜国立大学経済学部卒後、(株)キーエンス入社。
03年(株)ミスミを経て、06年(株)メディヴァに参画。
主に医療機関の経営再生を担当し、複数の病院の事務長等に従事。
10年医療機関特化型の人材育成・組織開発サービスを提供する(株)アクリート・ワークスを経て、
17年(株)テルメイク創業、代表取締役就任。筑波大学医学部非常勤講師

奥 知久

大阪市立大学医学部卒業、東京西徳洲会病院にて臨床研修を経て、
平成22年度より諏訪中央病院総合診療科・家庭医療プログラムディレクターを歴任。
現在はフリーランス医師として全国複数の自治体で、地域包括ケア体制構築に従事

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